HONYAKUMANの後悔と未来

2024年41歳本厄。事業失敗、妻に愛想を尽かされた男。後悔と愛情と恨みと悲しみの渦の中のおはなし。

破滅へ向かう船

破滅へ向かう船

妻との関係が1日1日時間を重ねるにつれ、愛情という羽が1枚ずつ抜け落ちる様な

毎日だった。

私はいつのまにか知人からの甘い誘惑に「投資」へ手を出してしまっていた。

「1発で負債を挽回できるチャンスがある」

そんな蟻の餌にもならないような安っぽい言葉に縋るバカな男がそこにはいた。

私は妻との関係も挽回したかった。これ以上羽を失ってはいけない。

私は焦っていた。このまま苦しい事業をするのか逆転を狙うのか。

このまま苦しい事業を続けて行くのかそれとも負債をなくすことで

全てがうまく行くかもしれないという考えに囚われてしまっていた。

もちろん当たり前のことの様に失敗した。

 

最後のチャンス、人生で一度っきりの人生を賭けたギャンブルに負けたのだ。

もちろん敗者は救われない。自ら結末に向かって船を漕ぎ出した。

いや漕いでなんかいない。

水流にただ流され始めた。その先には下が全く見えないほどの崖が待っているのだ。

 

そこから私は、嘘を吐き、隠し、落ちて行く毎日を過ごしていた。

今になって思えば「救われる事などない」と分かる。

ただただ当時は流される船に乗りながら

「こんなに頑張っているのに」「家族を幸せにしたいだけなのに」

と思いながら惨めで的を得ない短絡的思考しか頭に浮かばず、

掴むことが出来るものがあるかもしれないと思いながら流されるだけだった。

 

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